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大本営参謀の情報戦記

2012年8月 6日 11:12

原爆投下を、たとえ半日でも前に情報的に見抜けなかったことは、情報部の完敗であり、広島、長崎市民の犠牲に何ともお詫びの言葉もなく、さらに日本始まって以来の敗戦の導火線に点火してしまったことを思うと、情報の戦争に対する責任も、作戦課と同罪であって、ただただ恐縮この上ない。(P.250)

こんな日の読書なので、こんな記述が気になるわけですが。でも、情報投資をほとんどしてないで、情報の精査もせずに作戦立てりゃろくな結果にならんわな。当たり前のことが末期で最も悲惨な形で起こったわけで。
結局、情報の過小評価は戦争の始める前においては

「戦場の選定、つまり米軍とどこで戦うかを決めることは、作戦課の最重要な仕事だ。自分の体に合った戦場、すなわち国力、航空力、海軍力という体を考えたら、これに似合う戦場は太平洋だったろうか?」(P.82、寺本中将)

という、問題をはらんでいて、戦争が始まれば結局、生産の問題のみならずロジの問題を抱えることで

「中央から送ってくるものは、激励と訓示と戦陣訓と勅諭だが、第一線の欲しいものは、弾丸だ、飛行機だ、操縦手だ、燃料だ、食糧だ」(P.83、寺本中将)

「将来の作戦に制空権なきところ勝利なし、航空機の増産活動を望みて止まず」(P.137、井桁少将、サイパン失陥時の決別電報)

という、間抜けな現状を戦線で起こすだけ。情報力も分析力も足元に及ばなかったわけで、国力も弱けりゃ情報力も弱かったってこと。

日本軍最高司令部は東京にある大本営、米軍最高司令官はポートモレスビーにあった。どちらが戦場を存分に知りつくしていたかは、それだけでも明瞭であった。(P.114)

日本大本営作戦当事者たちの観念的思考は、数字に立脚した米軍の科学的思想の前に、戦う前から敗れていた。(P.143)

ただ、現場の勇に頼り切って多くの人を死なせただけ。戦後の僕らは、以下に情報と付き合い、かつ安全保障という問題に真面目に向き合うかが、問われているんだと思う。そういうことを考えるのに、非常に優れた一冊。面倒くさがらずに手に取ることをお勧めします。

「いまこの場面で相手に勝つには、何をするのが一番大事かを考えるのが戦術だ。要するに駒と盤が違うだけで世の中の誰もがやっていることだ」(P.21、土肥原中将が堀に)

「俊才は絶対に勇者にあらず、智者も決して戦力になりえず」(P.65)

「戦後ドイツは東西に二分されたが、心は一つである。日本は国土は一つで済んだが、心は右と左に二分してしまった。気の毒なものだ」(P.320)

日本の防衛方針が専守防衛ということであるなら、情報を措いて最重要なものはないはずである(P.338)

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