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遙かなる大和

2012年7月 1日 19:16

「そういう人間は大和も隋もない。この天のもとに生き、万民のためにはたらくしかない。それがおまえたちにあたえられた天命というものだ」(P.32、上、通詞の鞍作)

遣隋使をテーマにした実に珍しい歴史小説。遣隋使の意味する外交交渉をかなり現代風に解釈し、外交歴史小説に仕上げた異色の作品。特に、隋から唐に変わる頃合いの遣隋使の裏の活躍にスポットを当てている。
ただ正直言って、あくまで時代背景を借りて現代への警鐘を鳴らすのが主眼の小説のように思える。

「いかにも平和である。のどかである。激動の大陸から帰ってくると、心底ほっとする。だが福利、よくみればなんとまあ、この国は無防備であるか」(P.136、上、小野妹子)

まるで今の日本の平和ボケを、当時にスライドさせて再解釈をしている。と同時に、中国という国のありようも、その成り立ちや改変から見せようとしている。

「大義では食えぬ。大義では兵はあつまらないのだ」(P.457、上、楊玄感)

「要は勝ちぬくことだ。この乱世を勝ちぬかねば、大志も大義もありゃしないのよ、わかるかね。どんな汚い手をつかっても、勝てばよろしい。勝てば魏公は天下を治められるじゃないか。あんたも文句はあるまい」(P.127、下、祖君彦)

という、感じの中国に対し

「よくわからないが、倭国では天皇という地位は至高のものであって、力で倒すことはできないのではないかと思う」(P.22、下、福利)

かならずや太子のご指示にしたがい、永遠の大和、美しい大和をつくりあげてのち、太子のおんもとにまいります。(P.473、下、玄理)

義や理を重んじて、筋を通す外交を臨む日本。そこに巻きもまれる遣隋使として中国大陸に渡った学生たちの活躍を楽しんで下さい。純粋な娯楽小説として、十分楽しめます。

「これからは志なく義なく、日々、泥にまみれ、だましだまされつつ、生き残りをかけて戦わざるをえない」(P.130、下、福利)

「わかった、やる。しかし、高官を篭絡するには酒だな。これも勉学だということが、おまえのおかげでよくわかったよ」(P.154、下、154、請安)

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