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群青 日本海軍の礎を築いた男

2011年9月25日 16:43

「戦争に反対した者は、歴史に名を刻むことはないのだ(中略)私は歴史に名を残さないことを、むしろ誇りに思う」(P.408)


本当の君子は、大事になる前に何でもさっさと問題の芽をつぶしてしまうので、大したことをやっているようには見えないから有名にはならないって話は老子だったか書いてあったなァなどと思いながら読んでました。
ちなみに、この副題にして、選ばれた主人公はなんと、勝海舟でも木村摂津守でも榎本武明でもなく、歴史に一番名を刻めていなさそうな矢田堀景蔵。摂津守の部下で榎本の上司としていろんな小説やら資料に出てくるから、名前ぐらいは知っていましたがどんな人物かまでは知りませんでした。とにかく沢山の逸材を輩出した人。それは明治なってからも。だからこそ犬死を嫌うし、榎本の北海道逃避行も支持しなかった。それは

「おまえたちが持っている海軍の技術は、自分のものではない。日本の財産だ。それを粗末にしてはならない。いいかッ、忘れるなッ」(P.300)

ということだから。師であるための条件は師を持つこと、というのは内田樹氏が「下流志向」で書いているところではあるが、矢田堀の師は

「自分を越えられる人物を育ててこそ、師の面目躍如というところだろう」(P.27、岩瀬、出藍の誉れの主人公の解釈に対し)

自分が嘲笑されて、それでこの国の安泰が続くのなら、かまわぬと申すのです」(P.180、岩瀬の義父が葬式で)

こんな人。だからこそ、多くの人を旧怨にこだわらず陣営問わず育て上げる。

「俺は自分が藍だということも、誇りに思っている。おまえを筆頭に、俺が育てて世に出した青は大勢いる」(P.409)

おいらもそんなふうに死ぬ間際に言ってみたいものです。

何もかも失った自分を、むしろ家族は、あたたかく迎えてくれた。(P.367)

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