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推測と反駁―科学的知識の発展

2008年8月16日 13:55

考えうるいかなる出来事によっても反駁できないような理論は、科学的理論とは呼べない。反駁不能ということは理論の長所なのではなくして、その欠点である。(P.63)

大学院の担当教授が若い頃に翻訳に参加した本。なので、うちにあるのは恩師のサイン入りです。
反証主義の提唱者であるポパーの論文集、というか講演録集なので、比較的読みやすいものの分量は多くて、読了するのに2ヶ月ほど費やしてしまった。改めて読み直すと、ずいぶんポパーに対する印象も変わって見える。知識における自己責任の哲学と読み替えてもいいかな。自分の信念に比較的近いじゃんと意外な感じである。
まぁ、分量のことさえさければ読みこなせない本ではないと思うので、高校生とか大学初年度ぐらいに、仲間内で是非輪読していただきたい。

以下は自分の勉強用メモ。でもすごいわ。20世紀の頭脳の一つであることは間違えない。

真理の探究に際しては、自分に最も身近な信念を批判することから始めるのが最良の計画でありうる(P.9)
科学と疑似科学との区別をはっきりさせたい(P.58)
観察とは、偶然行われることなどほとんどなく、原則として理論を試そうという確たる意図を伴って遂行され、できれば決定的な反駁例を得るために行われるものなのである。(P.78)
かくして科学は神話と共に始まり、神話の批判と共に始まるのでなくてはならない。(P.85)
観察事例からも、その他のいかなることからも―論理的に推論されえない点をヒュームが強調したのは正しい。(P.87)
試行と錯誤―推測と反駁―の方法より合理的な手続きは存在しない。(P.88)
試行錯誤法は観察命題によって悪しき理論を消去する方法(P.96)
われわれは何らかの主題の研究者なのではなく、問題の研究者なのである。(P.111)
自分に解くべき純正の哲学的な問題があるときに限って哲学に関心を抱くであろう(P.116)
哲学では方法など重要ではない。どのような方法でも、もしそれが合理的に討議できる結果をもたらすなら、正当なものである。(P.118)
道具主義的哲学が用いられたことは、理論をおびやかすある矛盾から理論を逃れさせるための、その場しのぎ(アド・ホック)のものであった。(P.159)
科学理論は正真正銘の推測である(P.183)
理論がテスト可能ならば、それは、ある種の出来事が起りえないということを含意し、したがって実在について何らかのことを主張しているのである。(P.187)
「観察語」(すなわち「非理論語」)と「理論語」との間に行われている区別は誤りだからである。なぜならば、ある語は他の語より理論的だということはあるけれども、すべての語は何らかの程度に理論的だからである。(P.191)
合理的な方法というのは、科学を修正し変革することであって、一掃してしまうことではない。(P.214)
真理の探究において、多くの偽なる理論、今も受け入れられているいくつかのつまらない理論よりも、もっと役立ってきているのである。(P.231)
知識は、最終的な確かな真理からなるのではなくて、むしろ、推測から、仮説からなるということ、さらに、批判と批判的討論が真理に近づく唯一の手段であるということ(P.248)
科学的知識の合理的経験的性格にとっては持続的成長というものが不可欠であるということ、科学は成長をやめるとこの性格を失わざるをえないということである。(P.362)
非蓋然性を目指している科学について語るのではなくて、単に、科学は最大内容を目指す、と言ってはどうかというのである。(P.368)
低い確率というものは、反証される確率が高いことを意味するのであるから、高い度合いの反証可能性、ないし反駁可能性、ないしテスト可能性が科学の目標の一つである(P.369)

二つの矛盾する言明が認められるとなると、どんな言明でもすべて認めなければならなくなる(P.587)
社会科学の実践的有用性は、歴史的または政治的発展を予言する力にかかっているのではない。(P.628)
民主政は何事もなしえない―民主政の市民たちだけが(もちろん、政府を構成している市民も含めて)活動できるのである。民主政は、市民たちが多かれ少なかれ組織された整合的な仕方で活動できる枠組みを提供するにすぎない。(P.646)
ユートピア的青写真を作り上げるという問題は科学だけでは解決できない、ということである。(P.661)

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