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日本の自治は本当に後進国?

2007年9月13日 10:57

先日、僕が取ったわけじゃない電話の話。
たまに市民活動を支援するセンターに勤めているわけなんだけれど、電話で、「有償ボランティアが発達していない。日本のボランティアは遅れている」というのが来たわけだ。
で、電話の主の主張だと有償ボランティアが発達しているアメリカが先進国だと言うことらしい。

この電話の主は持ち出しになる日本のボランティアはおかしいと、アメリカに住む友人が言うから遅れていると主張しているのだけれども、本当に、有償ボランティアが無いところは遅れた地域なのかなぁとか思ったわけだ。
そもそもボランティアってのは、ある種の公益性を国家や自治体等のガバナンスが提供できないから、その公益性を主体的に埋めようと言う話であるはずだ。国際的なNGOなんかはその国家間の利益調整がもどかしいからやっている性質だ。

とすると、そもそも論として、まずは日本という地域に住むことにおいて、公益の提供がどうなっているかと言うことに他ならない。次にその公益提供を担う組織のありようがどうかという議論にうつるべきだ。
とすると、アメリカと同じ土俵でボランティアのありようを議論するのは不適切なのは明白だ。そもそも、ガバナンスが公益が提供する公益の幅と内容が違うので、有償ボランティアが成さねばならぬような領域まで、自治任せにしていないと言うことに他ならない。まぁ、それだけ国家なり地方公共団体なりが公益を幅広く提供してきたということなのだ。

それでも、住民が望む公益の幅が広がってきているなかで、日本でも特定非営利活動推進法が施行されたり、ボランティアに関する状況は欧米に近づいてはいる。でも、それは金銭的持ち出しが0と言うことではないはずだ。
どの国のNPO法人法でも読んでみるといい。基本的には「会員=社員」であり、会員はお金を受け取るのではなく、会費を払うのだ。お金を払って社員をするのである。なので、必ず金銭的持ち出しは議論のベースになっている。
ボランティアの組織論で行けば、世界中どこでも基本は、その会費の総額に対して予算を配分して自治なり公益の提供をしていくのだ。その中で、それ以上の支出で必要な経費は再度持ち出した人に払われるものの、原則としてボランティアをやるために初めにお金を払うのが当然なのである。おまけに、理事と言うのは原則無給の仕事とされている。いわば「責任者は無給ボランティアであれ」と言う厳しさだ。
たしかに寄付や助成金や補助金などで財源が潤沢なNPOは社員以外にも有償でスタッフを雇うことも出来る。こうしたものを有償ボランティアと呼ぶわけだ。

日本だと、寄付に関しての控除等は少ない。裏を返せば寄付であちこちの公益を回すのではなく税として取り、国家として公益をやっていくと言う仕掛けになっている以上、有償ボランティアが広がりにくいのは当然ともいえる。
これは、公益を提供する社会システムとして進んでいるとか遅れているという性質のことではない。

僕たちは、何でもかんでもなんだか分からないけれど、とにかく気に入らないことがあれば「日本が遅れている欧米が進んでいる」(加えて言えば「日本は進んでいる、アジアの諸国は僕らをパクって儲けている」等)と言いがちだが、実態を良く見るべきだ。

こんだけへ理屈を捏ね回した挙句に書くのも恐縮だが、自治機構が優れていると言うことで2005年に世界一のインテリジェント・コミュニティとして表彰されたのは東京の三鷹市だし、他方で公益として提供している電子政府ランキングで、北朝鮮の後塵を普通に拝している体たらくでもあるわけだ。この事実を踏まえて、日本の公益システムがアメリカより遅れているとも進んでいるともいえないはずだ。

変な話、有償ボランティアが発達していないこととか瑣末な指標をあげてあげつらうより、もっとちゃんと「公益とは何か」とか、自分のノウハウでどういうことを提供することが公益に資するか、と言うことを考えてやって欲しい。
あと、日本にだって昔からボランティア組織でしっかりとしたものがある。町内会だって子ども会だって立派なNPOなのだ。こういうことを考えればかなりNPOの歴史もあるしこういう為政者の中での独自の発展を遂げているはずだ。

当然かれらも公益の一翼を担っているのだ。決して欧米の自治機構に遅れをとっているとは言い切れないのだ。

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