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2006年5月のアーカイブ

旭山動物園は大丈夫なのか

2006年5月 4日 12:08

このネタを書くことはかなり迷ったのだけど、科学技術コミュニケーター批判をしておいて、このネタを批判しないというのは片手落ちで、言論者として失格だろうということで書く。

この春、久しぶりに家族で旭山動物園に行ってきたわけなのだが、率直に表題のとおりに思ってしまった。何って、明らかに、客は増えているけど、客どもに「命の輝き」が伝わっているようには見えない。というか、客はそんな関心は無し。明らかに、トンネルをくぐるアザラシのもの珍しさやら、道中を歩くペンギンの面白さだけ。もぐもぐタイムの飼育展示係の解説なんかどうでもいい、撮影専門の客。で、そういう大量に来る客を当てこんだ、様々な施設やら商業設備開発。

「これで市が少しでも潤うんだからいいじゃないか。文句無いだろう。」とかいう主張もあるんだろうけど、やはりこの状態は本筋ではない。本来、公的な動物園は博物館等に準じており社会教育の仕掛けである。物見遊山で来る場所ではない。動物の研究、展示を通じて、地域の知的資質の向上に資するためにあるものだ。
旭山動物園は、その成功の根源を考えれば、この本来の方向性を思い出し、きちんとそれを忠実に行ったからに他ならない。その表れが、各種の動物の生態を伝えるための手書きのポップであり、飼育員が直接、見にきた人々にその生態を伝えるモグモグタイムであるはずだ。その心意気の表れが、職員の役職名が「飼育係」ではなく「飼育展示係」となっているところなのではないか。この延長線に、ペンギン館やら、様々な、動物展示のハードウエアの成功がある。
でも、今来ている客は、ほとんどが観光バスで横付けし、肝心のポップは見ない、説明は聞かない、という本来の動物園利用者としては無用な客ばかりだ。こうした客のせいで、本来ここで学ぶべき子供達が、施設の中で押しのけられ、蹴り倒されるような事態が頻発している。こんな状態にしてまで、この客を呼んだり要望を聞く必要があるのか。
おまけに、こんなマナーの悪い、飽きっぽい観光客のために、さらに商業施設まで市の予算でご用意しようというのだから、恐れ入る。こいつらから金を巻き上げるのは、地元の商業者が自分の商魂と商才で考えるべきことであり、市が予算を組んで施設を建てるなんて言語道断だ。

旭山動物園は立つレッサーパンダ騒動のときに「あれは、動物展示の本質ではない」と切って棄てる発言で物議をかもし出すほど「動物の研究・展示を通じて地域の知的資質の向上に資する」ことにこだわっていたはずだ。来園者が200万人来るのも結構だが、こうした本質的機能が危機に瀕しているのに、その方向性を助長している現状はいかがなものか。
動物園職員だけの責任ではない。こうした観光客を当てこんでいる不健全な政策立案も問題だし、そういう政治を容認している市民、さらに経済効果を望むより前に、適切に商魂と商才を発揮しない関係商業者もその責の一端はある。園長はビジネス書を上梓している場合ではない。これほどまで、社会教育の場として悪化している現実はしっかり考えるべきだ。

いっそ、一般用入場口を土木工事で作るぐらいなら、観光バスの入場禁止ぐらい打ち出して、きちんと「社会教育の場」として再出発を考えるべきタイミングだろう。有名観光地ではなく、永続性のある社会教育の場になったとき、それが本当の意味で、旭山動物園が再生したとき。そういう意味では今の旭山動物園は再生途上どころか、死へ一直線の状況といえる。

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