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リアルへのゆり戻し

2000年12月31日 12:00

ここ数年、ネットビジネスの渦中にいて感じることがあるので、 ちょっと書き連ねたい。

近年、各種評論家の人々から、インターネットやITによって、
ネット文化vs既存文化
バーチャルvsリアル
といった、対立軸が生まれ、パラダイムの変革の時代などと良くうたわれる。
そして、あらゆる、企業文化があたかも科学哲学の世界で言うような パラダイム転換を行うような感覚のストーリーが語られている。
たしかに、これはこれで間違いないのだろう。
私も、1993年来、こうした一種のバーチャルスペースの到来と それによる様々な枠組みの変化が起こるということを、声高に 言いつづけてきた人種である。否定する気はない。
ネットビジネスで成功するモデルは どのモデルにおいても、新しいパラダイムを受け入れたもののみであると よく言われる。たしかに、そう思う。

しかし、人々は、インターネットのインフラの中において、リアルへの回帰、 リアルへのゆり戻しを起こしていると、痛切に感じる。

たとえば、一昔前のインターネットで賛美されていたことといえば コミュニケーションで言えば、CHATやBBS、メールで、世界中の未知の人と 知り合いになれて、しかも匿名性をもって、あたかも、リアルの自分と切り離した バーチャルな自分で、バーチャルな空間で、バーチャルな相手とコミュニケーション できることであった。
もっと、ネットビジネスに関わることで言えば、バーチャルな空間のネット通販で 世界中の製品を一覧し購入し決済することが出来るということであった。

現実に今はどうだろう?
ネットを使ったコミュニケーションの領域は、専用端末の普及など、 新しい次元を迎えると、一気にコミュニケーションの領域が 「現実に合うことの出来る範囲の相手(友人知人)とのコミュニケーション」へ 再び収斂し、また、コミュニケーションのスタイルも、ネットでは最低限の 情報交換のみで、小集団に縮まったとはいえ、現実に会ってコミュニケーションを 取るものを、求められつづけている。ネットを使っているが、 行動の規範はリアルへと回帰しつつある。
また、ネット通販においても、決済においては、バーチャルな決済ではなく リアルな場での決済方法が結局もてはやされ始めている。
また、ビジネスモデルにおいても、店舗というリアルな場を持つコンビニエンスストア などのネットプランが主流になりつつある。
他にも数え場きりがないほどのリアル世界へのユーザー回帰が顕著になりつつある。

「バーチャル世界旅行」だの「バーチャルモール」だの「ホームページで世界と取引」だの「ネットだけで儲ける」だの言っても、もはや、何の訴求力もなければ実効性も ないのである。

この2000年のネットビジネスは、ますます栄えて、バーチャルビジネスが 栄華を誇るだろう。ただ、同時に「リアルへのゆり戻し」が様々な局面で始まる。 かといえど、ネットのない時代に戻れるわけではないので、インターネットの 利便性は利便性で享受しつつ、リアルな場を求める動きが出てくるだろう。 今、ユーザーはバーチャル空間を欲してるのではなく、リアル空間での ふれあいや共感を求めているのである。

これからの10年は、このゆり戻しを軸に、リアルとバーチャルの組み合わせを 上手に行ったビジネスモデルを生み出す企業こそが、大きなコミュニティーを生みだす そうした企業が、これからの時代のリーダーとなるベンチャー企業といえるだろう。 ひょっとすると、持たざる経営神話に乗っかって、いろいろ捨てた企業が、 箱を持っていて、今苦しくなった企業に再逆転されるかもしれない。

とはいえ、思考上の何らかのパラダイム変換が必要不可欠であることに 何の代わりもない。やはり旧態依然の発想しか出来ない経営者では、持ってる箱を 使った逆転劇を生み出すことは出来ないだろう。

2000年代、「リアルへのゆり戻し」というのが、ネットに限らず 様々な場面でのキーワードになることと思う。

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