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EPRのパラドックス

1998年4月 9日 00:00

EPRのパラドックスといわれるものは、A.Einstein、B.Podolsky、N.Rosenの共同執筆による論文“Can Quantum-Mechanical Description of Physical Reality Be Considered Complete ?”で元々指摘されたものである。彼らの名前の頭文字を取って付けられた議論である。
今日では、その、非局所性の議論や、量子力学の神秘的なところ強調に用いられがちだ。しかし、EPRの議論は、パラドックスと言うよりはむしろ、いかに量子力学が物理学の理論として不完全かと言うことを述べたものである。
ここでは多少煩雑で数学の知識が要求されるが、その内容をEPRの原文にそってみていく。

まず、EPRは次のことを前提する。
完全な理論には実在の要素に対応する要素をもつ。
Ⅰ-物理量の実在の十分条件は、系を乱すことなくその物理量を正確に予測することができること。
Ⅱ-量子力学では、非可換演算子で記述されているふたつの物理量の場合、一方の知識を得ることが、もう一方の知識を得ることをできなくする。
これらより、次のうちのどちらかである
①波動関数で与えられる実在の記述は不完全である
②ふたつの物理量が同時に実在をもたない
さて、具体的な系を考える。まず、系XYを考える。XYは相互作用したのちに離れていく。XY全体の状態をΨで表す。

Xに関するAの固有値をa、固有ベクトルをuとして、 Ψ=Σψ とする。
Aを測定してaを見いだしたなら、波動関数の収縮により、Xに関する状態はuで、Yに関する状態はψになる。(無限系列の和がψに収縮するから)
次にAと両立不可能なBを考える。
その固有値をb、固有ベクトルをvとする。
Ψ=∑φ
同様に、Bを測定してbを見いだしたなら、Xの状態はvで、Yの状態はφなる。
Yは、Xの違った種類の測定の結果によって、ふたつの違った状態をもつ。だけれども、XとYは測定の時に相互作用しないから、Xの測定による実際の変化は、Yには起きない。 だから、ふたつの波動関数をひとつの実在に割り当てることが可能である。
だから、波動関数の記述が完全である(①が偽)なら、ふたつの物理量が実在をもつ(②が偽)ことになる。
さて、EPRの議論はこのように構成されているが、果たしてこれらの指摘は正当であろうか。


ref.
Albert Einstein,Boris Podolsky and Nathan rosen:"Can Quantum-Mechanical Descriptipon of Physical Reality Be Considered Complete?" Physical review,47,777-80(1935)

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